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相続分の譲渡

相続分の譲渡とは
  • 民法では,「共同相続人の1人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは,他の共同相続人は,その価額及び費用を償還して,その相続分を譲り受けることができる。」(民法905条1項)と定められています。
  • 最高裁判決では,相続分とは「消極財産と積極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分」とされています(最判平13・7・10)。
  • 相続分の一部譲渡も可能とされています。また,相続分の一部を複数の者に譲渡することも可能とされています。これについては,最高裁判例はまだ有りませんが,学説上は肯定説が多数となっています。
  • 相続分の譲渡を行うことができるのは,共同相続人と包括受遺者,です。
  • 他の共同相続人に譲渡した場合,譲受人は,自分の相続分に譲渡を受けた相続分を加算した相続分を有することになります。
  • 相続分の譲渡を受けた第三者は,譲渡人の相続人としての地位を承継します。
  • 相続分の譲渡は,譲渡人と譲受人の契約により行います。
  • 相続分の譲渡は遡及効が無いため,譲渡の時に効力が生じます。
  • 民法905条に規定の通り,相続分の譲渡が行われても,他の共同相続人は,1ヶ月以内に取り戻すことができます。

ポイント 相続分の譲渡

  • 相続人としての地位自体を譲り渡す
  • 一部を複数人へ譲り渡すこともできる
利用される場合
  • 印鑑がもらえなかったり,紛議が生じてしまい,遺産分割がまとまらず長期化している場合に,もう自分は関わりたくないとして,相続手続から離脱するために利用されることがあります。以後は,他の共同相続人間で遺産分割協議を続行すればよいことになります。司法書士が相続分譲渡証明書を作成します。
  • ただし,負債については債権者が関わっていないため,対外的に,自分は負債は負わないと主張することはできないことに注意が必要です。負債を負いたくない場合は,家庭裁判所へ相続放棄申述を行うか,債権者の同意が必要です。

ポイント 利用するケース

  • 紛争や長期化で,遺産分割協議に関わり合いたくない場合
  • 負債については,対外的に注意する必要あり
遺産分割協議者が変更
  • 相続分の譲渡が行われると,譲渡人に代わって譲受人が遺産分割協議の当事者になり参加することになります。
  • 相続分の譲渡が,第三者に対して行われると,第三者が遺産分割協議の当事者になり,相続人と第三者での話し合いになります。

ポイント 遺産分割協議の当事者の変更

  • 譲受人が遺産分割協議の当事者となる
  • 第三者も,相続人に混じって遺産分割協議に参加することになる
債務も譲渡で免れるのか
  • 亡くなった方が残した負債については,相続分の譲渡をすることで,当事者間で債務を移転させることはできます。しかし,債権者に対しては,債権者の承諾がなければ,債務の移転があったことを対抗できず,債務を免れることはできません。
  • 相続分の譲渡はあくまで,譲渡人と譲受人の契約で行われるもので,債権者の関与なく行われているためです。
  • 債務を免れるためには,家庭裁判所へ相続放棄申述を行うか,債権者の承諾が必要となります。
  • 司法書士としては,この点をしっかり説明する必要があるため注意しております。

ポイント 相続債務はどなるのか

  • 当事者間では免れるが,債権者に対しては承諾をもらう必要がある
  • ​​債権者の承諾なく債務を免れるためには,家庭裁判所へ相続放棄の手続が必要
有償譲渡と無償譲渡が可能
  • 相続分の譲渡は,有償でも無償でも行えます。
  • 登記手続上の登記原因は,「相続分の売買」「相続分の贈与」となります。

ポイント 有償と無償

  • 相続分の譲渡には,有償と無償,どちらでも行える
  • 登記手続上は,「相続分の譲渡」という登記原因は無い
登記手続
  • 共同相続人がABCの3名の場合で,ABがCへ相続分を譲渡したときは,被相続人名義の不動産について,ABの相続分譲渡証明書(実印で押印し印鑑証明書も添付)を提出して,Cから単独でCを名義人とする相続登記を申請することができる。
  • 共同相続人がABCDの4名の場合で,ABがCに相続分を譲渡したときは,DCの2人でDの名義とする遺産分割協議を行い,ABの相続分譲渡証明書(実印で押印し印鑑証明書も添付)とDCの遺産分割協議書を提出して,Dから単独でD名義とする相続登記を申請することができる(昭和59年10月15日民三第5195号民事局第三課長回答)。
  • 共同相続人以外の第三者に対し,相続分の譲渡があった場合,相続分の譲渡には遡及効がないため,登記手続上,亡くなった方の名義から直接第三者に対して所有権移転登記を行うことはできません。この場合,まず,共同相続人への相続登記をし,次いで,「年月日相続分の贈与」「年月日相続分の売買」を登記原因として所有権移転登記を行うことになります。
  • 共同相続登記がされる前に、共同相続人以外の第三者が相続人全員から相続分の譲渡を受けた場合は、相続を登記原因として、被相続人から当該第三者に直接所有権移転の登記をすることはできない(質疑応答・登記研究491号)
税金(贈与税,譲渡所得税,相続税)
  • 「相続分の売買」で所有権移転登記をし,登記名義を変更した場合,譲渡者は,譲渡所得税の課税を考慮する必要があります。
  • 「相続分の贈与」で登記した場合は,受贈者は,贈与税の課税を考慮する必要があります。
  • 相続分の譲渡を第三者に行う場合,譲渡人は法定相続分の相続登記をしてから第三者に譲渡するため,相続税を考慮する必要があります。
  • 譲受人が法人の場合は,有償・無償を問わず,譲渡人に譲渡所得の申告が必要となります。譲受人には,譲り受けた財産の時価と対価との差額について法人税が課税されます。
  • 司法書士としては,税金の事も考慮した上で手続きを決める必要があり,大変注意すべき点であると考えております。

ポイント 相続分の譲渡と税金

  • 税金のことも考慮して,相続分の譲渡を行うか決める
最高裁判例
  • 「共同相続人間で相続分の譲渡がされたときは,積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分が譲受人に移転し,譲受人は従前から有していた相続分と新たに取得した相続分とを合計した相続分を有する者として遺産分割に加わることになり,分割が実行されれば,その結果に従って相続開始の時にさかのぼって被相続人からの直接的な権利移転が生ずることになる。」(最判平13・7・10)
  • 「共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は,譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続において,民法903条1項に規定する「贈与」に当たる。」(最判平30・10・19)

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