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一般に遺言といわれるものは,「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」です。その他にも,5種類の遺言の形式がありますが,利用されるのは非常に稀です。
ここでは,多く利用される「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」を中心に紹介します。
1.公正証書遺言,2.自筆証書遺言,3.比較、の3つで解説します。
公正証書遺言は,もっとも安心して作成できるものです。なぜなら,内容を決定し,それを公証人役場に持ち込み作成が完成すれば,半永久的に公証役場で保存されることになるからです。また,公正証書遺言をデータ化し東京のしかるべき場所に保存されているため,地震等の大きな災害が起き公証役場が倒壊したとしても,確実に保存できる仕組みになっています。
原本は,公証役場に保存されますが、正本と謄本は遺言者に渡されます。仮に紛失してしまっても,保存されているため,公証役場に問合せれば再び謄本を交付して頂けます。
また,公証役場では公証人が遺言内容を確認し,さらに証人2人以上立会の元で作成されるため,遺言が無効となる可能性は極めて低いものとなります。
遺言者が亡くなり,相続が開始した場合でも,「自筆証書遺言」では必要とされる家庭裁判所での検認手続きが,公正証書遺言では不要とされています。そのため,すぐに相続手続きを行うことがでます。
ただ,費用がかかるという短所があります。
自筆証書遺言は,遺言者が,その全文,日付及び氏名を自書し,押印することによって作成します(民法968条1項)。
費用もかからずいつでも作成することができますが,全文を自書しなければなりませんし,法律的に正しい内容,正しい表現で書かれているかがご自分では判断が難しい部分があります。
ワープロなどで作成した場合は無効となるなど,一定のルールがありますので,形式的な要件すべてを,しっかり守れているかどうかも問題となります。
また,自筆の場合ですと,相続人間に争いがある場合に,「この遺言は偽造されたものだ」「その時期にはもう認知症がだいぶ進行しており書ける筈がない」などの疑問が投げかけられるなどして,さらなる争いの原因になってしまうこともあり,実際に私もそのようなご家族を見てきました。
また,自筆証書遺言の場合,家庭裁判所での検認手続きをしなければ,不動産の名義変更登記手続きなどができず,すぐに相続手続きを行うことができません。
公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | |
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自書 | 不要:公証役場が作成 | 要:全文を自書 |
証人 | 2人以上必要(通常2人) | 不要 |
印鑑 | 遺言者:実印 証人:認印でよい | 認印でよい |
保管方法 | 原本:公証役場 データ:東京の保管所 正本:遺言者 謄本:遺言者 | 遺言者自身で保管 |
検認手続き | 不要 | 必要 |
メリット | ・宮崎で大震災があっても大丈夫 ・紛失しても大丈夫 ・遺言が無効となる可能性が低い ・すぐに相続手続きに移れる | ・費用がかからない ・誰にも干渉されずに作成できる
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デメリット | 費用がかかる | ・紛失の可能性がある ・偽造,盗難,破棄される危険がある ・紛争の原因になることもある ・検認手続きですぐに相続手続きに移れない |
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